京まちなか映画祭presentsファンタスティック☆押忍上映会 監督トーク①

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8月3日、ライブハウスIndigoにて京まちなか映画祭のプレイベント、「京まちなかpresentsファンタスティック☆押忍上映会」が催され、大盛況を収めました。上映されたのは金子由里奈監督『おいしいコーヒーの作り方』(2016)、田村将章監督『そんなこと考えるの馬鹿』(2019)、中島悠作監督『極東ゲバゲバ風雲録』(2018)の3作品。20代前半の若い映像作家たちが届けてくれた、エッジの効いた作品群に観客は圧倒されていました。

今回は、『そんなこと考えるの馬鹿』上映後に行われた、田村将章監督のトークを掲載します。(聞き手:京まちなか映画祭・石塚就一)

 

石塚 松任谷由美さんの曲に「悲しいほどお天気」というタイトルがあるのを思い出しました。晴れ渡った夏空の切なさ、ある種の残酷さが表現されている映画だと思います。

田村 そうですね。「バカンス映画」というジャンルがあると思うのですが。エリック・ロメールとか。僕はそういう作品が大好きで。地元でロケをしながら、テイストを取り入れたいと思っていました。まあ、田舎で夏に撮った映画ってとこだけなんですが…。

石塚 はい、『緑の光線』などの作品群ですね。確かに雰囲気が似ています。撮影は監督のご実家で?

田村 そうです。室内は全部僕の家です。

石塚 三面鏡や物干し竿など、情緒的なイメージで描かれがちなモチーフにあまり幻想がなかったように思います。監督は、日本映画における「田舎」の雰囲気に違和感があったのではないですか?

田村 田舎に住んでいたからこそ、自分の家が不気味に見える瞬間ってあるんですよね。それを描きたいと思いました。

石塚 おばあちゃんが透明人間というユニークなアイデアはどこから?

田村 最初は「透明人間が認知症になって徘徊癖があったらどう見つけるのか」というアイデアを思いついたんですよ。そこから、周りの人間はどう行動するのだろう、とふくらませていきました。透明人間の映画って、割と透明人間側が主人公のものが多いじゃないですか。そうじゃなくて、周りの人間に主眼を置く内容にしてみたかったんです。

石塚 おばあちゃんが徘徊するから、ヒロインは好きな男の子と一緒に探しにいけると喜ぶ。ちょっと残酷な感じもありますよね。

田村 僕自身、登場人物が残酷な目に遭う映画が好きなんですよ(笑)。性癖ですね。ラース・フォン・トリアー作品とか。そういう映画を作ってみたかった。

 

石塚 映像的に驚いたのは、序盤で雲が晴れて地面が明るくなっていくショットです。あれは偶然?

田村 あれは偶然です。テイク2だったと思うんですけど、モニターを見てから気づきました。

石塚 家の中の薄暗い感じと野外のカンカン照りの感じが対比になっている。それは、例のショットがあったからこそ、見方が決定づけられたように思いました。

田村 そうですね。あの映画を撮っているときに『寝ても覚めても』という作品が公開されていて。そこでも、ああいうショットが撮られているんですよ。だから、パ クったみたいに思われそうなのですが(笑)。

石塚 田村正毅さんの『ドライブイン蒲生』にもああいうショットはありますね。いかに偶然を必然のように見せられるかも監督の腕の見せ所のように思います。『そんなこと考えるのは馬鹿』も素晴らしい偶然に恵まれた作品なのではないでしょうか。ちなみに、ヒロインがずっと青い服を着ているのは意図的ですか?

田村 はい。衣装に関しては、プロデューサーの小林が担当しました。かなりこだわってくれていると思います。

石塚 本作は第41回ぴあフィルムフェスティバル コンペティション作品部門で入選を果たし、非常に評価もされています。今後の展開を教えていただけますか?

田村 9月7~21日に、ぴあフィルムフェスティバルが東京の国立映画館で開催されます。そこで2日間、ほかの短編と一緒に上映していただけることになりました。それと同時に、青山シアターというサイトでも配信されます。その後、全国各地で上映されていく予定です。

石塚 とてもクオリティの高い作品ですので、観客のみなさんもSNSなどでどんどん感想をつぶやいて拡散させてください!

田村 お願いします!

(文・構成:石塚就一)

 

田村将章

1995年生まれ。滋賀県出身。立命館大学映像学部卒業。主な創作活動は映像と短歌。2019年、『そんなこと考えるの馬鹿』が第41回ぴあフィルムフェスティバル コンペティション作品部門で入選。

 

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