MVパーティー運営日誌のようなもの① 7月の物語

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ギョーム・ブラック監督最新作『7月の物語』(2017)は最高だった。9月後半、俺はMVパーティーの撮影が追い込みになっている時期に、大阪で見た。

すでに、3組がクランクアップに向け、スケジュール終盤に入っていた。いや、正確には1組はまだ現場にすら入っていない。つい前日も、ロケハンに明け暮れていたばかりである。ちなみに、撮影スケジュールが決まったのは前々日。撮影開始予定は翌日。ひたすら胃が痛い。

やることは山積みだが、映画を見に行ったのはほとんど現実逃避でしかない。なし崩し的に、俺はMVパーティー全体の制作進行役となっていた。打ち合わせを調整し、学生達に車を提供し、ロケハンに付き合い、撮影を見守る。そのスケジュールが延々と続く。しかも、俺自身、人生初となる電子書籍の刊行を目前に控えた状態で。映像による殺人的スケジュールを癒してくれるのは映像しかない。誰が決めた?俺だ。

『7月の物語』は最低限の機材と撮影日数、そして3人の技術スタッフによって作られた映画である。他愛もない若者たちの日常。しかし、大作映画よりもはるかにスペクタクルで、最後まで飽きさせない。今年のベスト候補である。

映像の出来はカネに比例しない。選択肢こそ広がるものの、『7月の物語』の1000倍、万倍カネがかかっていて、つまらない映画はいくらでもある。このMVパーティーも限られた予算、日数でアイデアを競い合うイベントだ。だからこそ、純粋に作家の資質が問われる。センスが問われる。

ある映画監督が俺に言った。「プロである自分がこのイベントに参加する意味はない」

それはそうだ。すでに、彼は自分の資質を世に証明してきたからこそプロとして成功しているのである。それでも、彼は最終的にこのイベントの監督を引き受けてくれた。もう一度、若手に混じってセンスを問われる場に降り立ってくれたのである。その勇気には心から敬服する。本当に感謝だ。あの居酒屋で2時間にわたり説教を食らったこと、今でも忘れません。

これは運営日誌であって日誌ではない。はっきり言うが、俺、石塚の物語である。

今夜から11月に行われるMVの審査会までほぼ毎日、更新していく。このMVパーティーで俺が見たことを包み隠さずさらけ出していくつもりだ。

うれしい瞬間も悔しい瞬間もあった。かなりのトラブルもあった。それでも、なんとか我々はここまで来ることができた。

みんな、あともう少しだ。

 

文=石塚就一

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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